全宇宙の皆さん こんばんわ

僕は今日の帰路、山手線に乗っていて ふと気づいたのです。

映画に「ラストエンペラー」とか「ラストサムライ」とかあるわけですが、考えてみれば人類最後の落語家もいるわけで その映画があるならば やっぱり「ラスト落語マン」と呼ぶべきなのだろうな…と静かに思いました。

今夜はそんなあなたの為に 「ラスト落語マンー最期の演目」のお話を語って聞かせたいと思います。もし気に入って頂けたら映画化し、ハリウッドとかブロードウェイとかシリコンバレーとか岐阜駅等で上映してもらえたら幸いです。

 さて、これは僕が聞いた話なのですが、都内のどこか…下町だったと思います。比較的若手の落語家がいて いつもように銭湯に向かいました。銭湯に先頭で入ったけど、彼は戦闘はしないのです。落語家なので。

 夕方に彼は行ったそうですが その日はガランと空いていて 男湯は彼一人、どうやら壁の向こう側の女湯にも誰もいないようです。
 番台には夕陽を浴びたおばあさんが座りしんなりしている。
彼も疲れていたので 風呂から上がると休憩スペースでゴロリと横になりました。ウトウトとしている内に時間も経ち、彼は起き上がって立ち上がります。
 と、その時 番台のおばあさんが声をかけてきました。

「で、あんたはどうするんだね?」
「…どうするって…何をですか?」
「あんたがそこで眠っている内に 地球人類はなぜかわたしとあんたを残してすべて滅んでしまった。今や、この地球上にいる人類はわたしら二人きりなのである」
「ええっ!?それってホントウですか?びっくりだなあ」
「むろん ほんとうだとも。わたしは正直を旨として生きている」
「いや、それは知っていますよ。でもねえ、こんなに思いがけなく僕ら二人だけ残して人類が滅んでしまったとしたら、いったいどうしたらいいんでしょうねえ…」
「そんなの決まっているだろう」
「決まっているって、何が決まっているんですか?」
「ここで落語をするのさ。人類最後の落語家として落語会を開く。そしてわたしは人類最後の客として それを聴く」
「ああなるほど…それはいいですね。よござんす。やりましょう。ギャラはいくらですか?」
「440円だ。あんたがさっきわたしに支払った銭湯代だよ。それがギャラとなる」
「ああ、それは素晴らしい。…さて、演目は何にしようかな」

…このような、お話です。ここまで書いたところで眠くなり、足もしびれてしまったので今宵はここまでにします。

 それではおやすみなさい。